注文住宅を建てて理想の暮らしを実現するためには、土地の選び方も大切。土地の購入に失敗&後悔しないために、「エリアの選び方」、「土地の探し方・選び方」のポイントを解説。購入のときに気をつけることや注意点をまとめたチェックリストを紹介しよう。
どこにある土地を選ぶかは、これから暮らす街やエリアを選ぶということ。「今の住まいの近くがいい」「実家に行きやすいところが便利でいい」など、おおまかな希望エリアが決まっている人も、「予算内で希望の広さがあればいい」などエリアにこだわっていない人も、自分にとって暮らしやすいエリアかどうかを、さまざまな角度から確認して土地探しをしよう。
もともとある住宅街や、その近くで売り出されている土地と、新たに宅地造成されたタウンにある土地では、街の雰囲気に違いがある。エリアによっては、開発から年月がたったニュータウンなど住民に高齢者の多いところ、建て替えが進みあらゆる世代が暮らしているところ、商業施設や病院などが充実しているところなどさまざま。新たにつくられたタウンの場合は、計画的に配置された美しい街並みが特徴だったり、商業施設や飲食店が豊富で比較的若い世代が多く集まったりする。希望するエリアでは、どんな住環境が得られるかをまずは確認しよう。
通勤や通学にかかる時間や、利用する交通機関や路線の本数、ラッシュ時間の込み具合などを確認。急な異動などで職場が変わっても通いやすいか、ということもチェックしておきたい。
通勤や通学、買い物に出るときに使う駅までは、徒歩でどれくらいかかるか、始発と終電は何時か、自宅から駅までバス便利用なら運行本数は十分か、などの利便性を確認。また、街灯が整備されていて夜道が暗くないかなど、安全性も重要。
日常的な買い物がしやすいスーパーやコンビニ、週末のまとめ買いに便利な大型ショッピングセンターへのアクセスをチェック。駅から自宅の途中にスーパーがあると、仕事帰りの買い物もストレスがない。
日常的には利用しなくても近隣にあると便利なのが、内科や小児科、歯科などの病院、そして、銀行や郵便局などの公共施設。そのほか、図書館や体育館、区役所や自治体の出張所などの場所も確認しておきたい。
その土地の近くにある学校が、通うことになる学校とは限らない。その土地がどの校区に含まれているかを必ず確認しよう。不動産仲介会社や市区町村の教育委員会に問い合わせればわかる。
今は利便性がそれほど良くはないエリアでも、再開発によって商業施設が充実したり、計画的に公園が整備されたりなど、暮らしやすい街に生まれ変わることがある。希望エリアで再開発の計画がないかをチェックして、将来の環境もイメージしたうえでエリアを選びたい。
希望エリアがしぼりこめて、環境や利便性にも納得ができたら、次は具体的な土地探し。土地を探す際には、不動産仲介会社に依頼するのが一般的だが、建築を依頼するハウスメーカーやビルダー、工務店に相談して探してもらう方法もある。その際、何を伝えればいいのか、土地探し依頼時の注意点と、土地選びのポイント見ていこう。
価格や広さ、形、駅からの距離など、すべての希望に合う土地が見つからないことも多い。土地探しを依頼する際には、条件の優先順位を決めて伝えておくと、理想に近い土地に出合いやすくなる。
市街化区域では13種類の「用途地域」によって、その土地に建てられる建物の種類や規模が制限されている。用途地域によって住宅地としての環境が違うので、購入候補に選んだ土地がどの用途地域に含まれているかを、必ず不動産仲介会社などに確認しておこう。
大規模な火災を防ぐため建物の耐火性能に基準が設けられているエリアも。建築費用にも影響するので、事前に確認を。そのほか、「屋根不燃区域」もある。
木密地域とは、木造住宅が密集している地域のこと。東京都ではJR山手線の外周部を中心に帯状に広がっている。住宅を新築したり建て替えたりする場合は、耐火性能などの規制が強化されているエリアがあるので、事前に確認を。
土地にはそれぞれ建てられる建物の大きさや高さに制限ある。建築面積の上限は「建ぺい率」で、延床面積の上限は「容積率」で決められているほか、「高さ制限」「北側斜線」などさまざまな規制がある。希望の大きさの家が建てられるか、事前に確認したい。
一般的には正方形や長方形の土地が、無駄なスペースをつくらずに家を建てやすい。しかし、旗竿形は家が奥にあるため静かな環境が得やすい、三角形の土地は3角を花壇にして楽しめるなど、変形土地にもメリットがある。変形土地もOKにすることで選択肢を増やせる。
都市計画区域内で建物を建てる場合、原則として建築基準法で定められた幅員(幅)4m以上の道路に2m以上接した土地でなければならない(一部区域では幅員6m以上が必要)。この接道義務をクリアしているかを確認。接している道路の幅が4m未満の場合、道路の中心線から2mの位置まで後退(セットバック)した線まで空けておくことで、建てられる土地も。
地震に強い家にするには建物の耐震性能だけでなく、家を支える地盤も重要。建築前に地盤調査を行うのが一般的だが、購入前の土地の場合は、Webサイトの「地盤サポートマップ」で、地質や地震時の揺れやすさ、液状化の可能性、浸水の可能性などの目安がわかる。
近くに川があり、低地にある土地は大雨で浸水する可能性がある。過去の浸水履歴は各市町村役場で確認可能。また、過去に工場などがあった土地の場合、土壌汚染調査がされているかとその結果を不動産仲介会社に必ず確認しておきたい。
土地の四隅などに打ち込まれている隣地との境界を示す「境界標」があるかを確認。ただし、土地によっては境界標がずれていることも。境界が曖昧な場合は、きちんと測量をすることでトラブル防止になる。
ここまで解説した内容を中心に「土地を選ぶときに確認したいチェックリスト」をまとめてみた。分からないことは不動産会社に尋ねながら、ひとつずつチェックしていこう。
購入する土地を決めるまでに、知っておきたい注意点は数多くある。さまざまなポイントを確認していくのは大変だが、満足できる土地を手に入れるためにも、わからないこと、不安なことは建築会社や不動産仲介会社に尋ねながら、土地探しを進めていきたい。なお、市区町村役場にはハザードマップや、今後の再開発計画などさまざまな情報がある。Webサイトで公開しているところも多いので、チェックしておこう。
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地盤の状況や浸水・土壌汚染などの土地の過去もチェックしておくと安心